「引越しが決まったけど、今あるピアノは新居に運べるの?」
「丁寧に運びたいけど、業者に頼むと高額な費用がかかるんじゃない?」
そんなお悩みを抱えていませんか?
ピアノは少し移動させただけで音色が変わってしまうほど繊細な楽器。個人で移動させるのはなかなか難しいものです。
それでもピアノを新居に運びたい…、そんな時にはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では、ピアノ運搬の料金基準や作業方法など、気になる疑問に一からお答えします。
ピアノ運搬を依頼する時の業者選びのポイントと、あわせて知っておきたい注意点も掲載。ピアノの運搬について気になることがあったら、ぜひこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか?
目次
ピアノの運搬料金はどうやって決まる?
そもそもピアノの運搬サービスを扱っている業者はどのような基準で運搬料金を決めているかご存知ですか?
引越しの距離?ピアノの大きさ?
もちろん距離や大きさも大切です。
でも実はピアノの運搬は、もっとたくさんの基準を総合して最終的な料金が決められます。
ピアノ運搬の料金について一からおさらいしていきましょう。
運搬料金は基本料金+特殊作業料金
ピアノの運搬料金は、大きく「基本料金」と「特殊作業のための追加料金」の2つに分けられます。
「基本料金」は、引越し先までの距離とピアノの種類・大きさによって業者ごとに決められるものです。単純にピアノを旧居から新居に運ぶ時の運搬費だと考えるとわかりやすいでしょう。
ピアノが大きいほど、距離が遠いほど基本料金は上がります。
一方「特殊作業料金」は、運び出す前のピアノや新居でピアノを設置する場所が2階以上になるなど、運搬前後のピアノの搬出・搬入のための追加作業によって発生します。
特殊作業を行うためには、専用のクレーン車を用意したり、作業員の数や作業時間を増やす必要があるため追加料金が不可欠なのです。
大きなピアノの運搬する時や、引越し先が高層階の場合など、建物の立地や条件の都合で追加の特殊作業がやむをえないケースも多いです。
そのため運搬の予算を見積もるときには、この特殊作業料金を見過ごすことはできません。特殊作業については2章で詳しく触れていきます。
ここではまず初めに基本料金を決める時の基準を詳しくみてみましょう。
ピアノの種類
一口にピアノといっても、ピアノには大きく分けて3つの種類があります。
グランドピアノ
ピアノといえば多くの人が思い浮かべるグランドピアノ。
演奏会やコンクールの場でも使われ、本格的な音が楽しめます。
しかしその大きさゆえに、引越しでは特殊作業料金が必要になることが多いです。
グランドピアノの中でも大型のものと小型のものがあるので、サイズによっても運搬の料金は変わります。
アップライトピアノ
家庭や限られた場所に設置するために開発されたピアノです。
サイズは少しコンパクトですが、グランドピアノと同様に弦やハンマーなどの繊細な構造を持っているため、専門知識のある業者に依頼する必要があります。
電子ピアノ
内部に弦やハンマーなどの構造を持たず、電気信号を使って音を出すピアノです。
このタイプのピアノは分解できるタイプも多いので、保護などを入念に行えばピアノ専門の手続きをしなくても通常の荷物と同様に運ぶことも可能です。
しかしやはり繊細なことには変わりはありませんので、心配であれば業者への依頼も検討しましょう。
これらのピアノの種類と大きさによって基本となる運送料金が変わります。
業者に依頼する場合、
グランドピアノ > アップライトピアノ > 電子ピアノ
の順で料金が高額になるのが一般的です。
距離
基本料金を決める時のもう一つの基準が、ピアノを移動させる距離です。
一般的には距離が遠いほど、基本料金が上乗せされます。
しかし、たとえ移動が10kmであったとしても、運搬するためには専用のトラックをチャーターする必要があります。依頼する業者にもよりますが、近距離の場合でも数万円~の予算を見積もっておくと安心です。
また、100kmを超える長距離の場合は近距離の料金の2~3倍、5万円以上の料金がかかることも多いです。長距離の移動を考えている場合には、基本料金だけでも高額な金額になってしまうことを覚悟したほうがよさそうですね。
やむを得ない!追加費用が必要な特殊作業とは?
特殊作業は主に、元の設置場所または引越し先の設置場所が建物の2階以上にあるときに発生します。
特殊作業の料金を決める時にはさまざまな条件が関連してきますので、ここではわかりやすくフローチャートでまとめてみました。
フローチャートの下では、それぞれの項目について順番に補足を加えています。
まずはご自身がどの状況に当てはまるか調べてみましょう。
【1】エレベーターで運ぶ
初めに確認したいのは、ピアノを運搬する建物のエレベーターの有無です。
新築の物件にはエレベーターがあることが多いですが、築年数の古い物件ではエレベーターがない物件もいまだ残っているのが現状です。
エレベーターがあっても、十分な大きさがないとピアノの運搬に使えませんので寸法も忘れずに確認しましょう。
タワーマンションなどでは、住民が使うものとは別に荷物搬入用のエレベーターがついている物件もあります。
取り外せる部品を分解したり、縦にしたりしてエレベーターで運搬できれば、特殊作業料金はかからないか、比較的安くすむことが多いようです。
【2】階段で運ぶ
エレベーターが使用できない場合で、階段や通路、踊り場にピアノを通す余裕がある物件では、作業員が持ち上げて階段で運ぶことになります。
作業員の数や作業時間がより多くかかるため、階数一階ごとに追加料金が加算されます。
【3】クレーン車
エレベーターや階段では運べない、そもそも玄関や廊下が狭いため家の中に入れるのが難しいという場合、ピアノをクレーン車で吊りあげてベランダや窓から運び入れます。
ただし、状況によっては、クレーン車での運び入れができないことがあるので要注意です。
道幅がせまく家の近くにクレーン車を止めることができない場合や、家のある階が高層すぎてクレーンの高さが足りないなどの場合はクレーン車は使用できません。
何階まで対応できるかは、業者が手配するクレーン車のタイプによるので、気になる場合は契約する前に確認しましょう。
【4】手吊り
設置場所が2階以上でエレベーターや階段、クレーン車でも運べないときに、専用のロープや滑車を使って作業員が手作業で吊り上げるという方法を手吊りといいます。
手吊りであればクレーン車でなくともピアノを持ち上げることができますが、ご自宅の環境で手吊りが可能か、手吊りに対応しているかどうかは業者ごとに違います。
もしも、手吊りでピアノを搬入したい場合は対応可能かどうか業者に問い合わせてみましょう。
【5】分解
上記1~4の方法でどうしても運び入れることができないときは、最終手段として専門技術を持ったスタッフにピアノを分解してもらい、パーツごとに運び入れることも可能です。
この方法では、ピアノを一度分解して家の中で組み立てる作業も必要になるので、比較的費用は高額になる傾向があります。
それでも、どうしても家に運び入れたいピアノならば選択肢の一つになるでしょう。
引越し業者と専門業者どっちがいいの?メリットとデメリット
では、ピアノの運搬についての基本がわかったところで、実際にはどの業者に頼んだらいいのでしょうか?
ピアノの運搬を依頼できる業者には「引越し業者」と「ピアノ運搬専門業者」の2つの種類があります。
でも急に言われてもどちらに頼んだほうがいいのかすぐにはわかりませんよね。
そこでこの章では、ピアノの運搬を依頼できる2つの業者について、それぞれメリットとデメリットを挙げて詳しく解説していきたいと思います。
それぞれの特徴をよく知って、ご自身にマッチする業者を探しましょう。
引越し業者
引越し業者には、オプションとしてほかの荷物と同時にピアノ運搬を行ってくれるサービスがあります。
例えば次のような業者がピアノ運搬サービスを取り扱っています。
- アーク引越しセンター
- サカイ引越センター
- ハート引越しセンター
- ヤマトホームコンビニエンス
ほとんどの引越し会社は、専門業者と独自に提携を結んでおり、作業日にはピアノ運搬の専門スタッフが行うので、引越し業者といっても心配する必要はありません。
ここに上げたのは一部ですが、このほかにもピアノ運搬のオプションサービスを行っている引越し業者はありますので、気になった会社に問い合わせてみるといいですね。
- 引越し手配の窓口が一つにまとまる
- ピアノ運搬作業とその他の引越し作業との時間調整を業者がしてくれる
- 引越し料金とまとめて値引き交渉がしやすい
- 実際に運搬する専門業者を自分で選べない
- 引越し業者を通して依頼するので専門業者と直接連絡が取りづらいことがある
専門業者
引越し会社とは別に、ピアノ運搬を専門に行っている業者も存在します。
専門業者なので、ピアノ運搬の知識やノウハウへの信頼性は抜群です。
ピアノだけでなく、大型オーディオや仏壇など通常の荷物と一緒に運びにくいものも取り扱っている業者もあります。
- 都合や要望に合った業者を自分で選ぶことができる
- 直接連絡を取り合うので、運搬の打ち合わせやアフターケアがしやすい
- 自分で選んでいるのでクリーニングや調律の依頼をするときにも信頼できる
- 引越し業者とは別に見積もりを取って依頼する必要がある
- 時間指定ができない場合もあり、引越し作業との時間調整がしにくい
いかがでしょうか?
2つの業者のもっとも大きな違いは、引越しをするときにやり取りをする窓口がまとまっているか別々になるかということです。
引越し業者に依頼する場合、すべての作業を依頼した引越し会社が請け負ってくれるので全体の手間は減り、作業効率も上がります。
ピアノ運送専門業者に依頼する場合は、業者と直接やり取りができてより安心して任せることができます。一方で、引越し業者の作業時間とうまく合わなければ引越しがスムーズにできなくなる恐れもあります。
引越し業者に依頼した場合も専門業者に依頼した場合も料金にさほど大きな違いはないようですので、ご自身の都合に合わせて選んでみましょう。
ピアノ運搬で損をしないために…業者に依頼する時の注意点
ピアノ運搬を依頼する業者には2つの種類があると紹介しましたが、どちらの業者に依頼する時にも、気にしてほしい注意点があります。
安すぎる業者は注意
ピアノ運搬の料金は、コンパクトなサイズのピアノを近距離で運んでも最低2~3万円はかかるもの。
より大きなグランドピアノだったり、移動が長距離であったりすると、料金が10万円を超えるケースも珍しくありません。
どちらにしても大きな出費ですから、つい安い業者に依頼したくなりますよね。
しかし、安全にピアノを運ぶためには、専用トラック、クレーン車のチャーター費用、作業員の人件費、保護のための資材などたくさんのお金がかかります。
安いと思って依頼すると、ピアノや建物の保護が不充分であったり、ピアノの専門知識のない作業員が来てしまうこともあるようです。
もちろん費用が抑えられるのはいいことですが、ほかの業者に比べてあまりにも安すぎる業者に依頼する時には十分慎重に検討してください。
運搬・運び入れ以外の追加料金がかかる
ピアノの運搬費用はだいたい予算内で収まったと思っても、実はさらに追加費用が掛かることがあります。
それは「調律」と「クリーニング」。
ピアノは繊細な楽器ですので、引越しのために場所を動かしただけでも音が変わってしまいます。
そのため、引越しの後はピアノの練習を始める前には「調律」が必要です。
調律は運搬を担当した業者が一緒に行ってくれる場合が多いですが、その場合も追加料金の対象です。
また、ピアノの状態によっては、見積もりをした業者に「クリーニング」を勧められることがあります。ピアノは長い間放置していると、内部に虫がついたり、部品が痛んでしまうことがあります。
クリーニングを依頼すれば、業者がピアノを一度自社の工場に持ち帰り、メンテナンスをしてから新居に運んでくれるのです。
しかし、このクリーニング費用は5万円以上の費用が掛かることも多く、下手をすると運搬の費用よりも高くついてしまうかもしれません。
業者の中には運送費を安く見積もってクリーニング料金でお金を稼ぐ会社もあるようなので、注意が必要です。
ネット見積もりの料金と実際の料金が全く違う
ネットを通じてピアノ運搬料金の見積もりを依頼する時には、必ず注意するべき点があります。
それは、情報を正確に伝えることです。
ピアノ運搬のために訪問見積もりを行ってくれる業者もありますが、ゆっくりと時間が取れないときなど、ネットや電話で見積もりを取ってそのまま契約を進めてしまうケースも少なくありません。
しかし、その時にあいまいな情報を伝えるのは禁物です。
例えば、寸法や大きさを正確に計算せずに「たぶんエレベーターで運べます」と伝えてしまうと、業者側はエレベーターを使えるという前提で料金を計算します。
当日になって、「予想よりピアノが大きくてエレベーターで運べない」となると追加で特殊作業が必要になり、考えていた料金より大幅に高い請求をされてしまうことも充分にあり得るのです。
ピアノ運搬の際はできれば訪問見積もりを依頼する、どうしても時間がない場合は条件を細部まで正確に伝えるということを意識してみてください。
まとめ
引越しの際のピアノの運送について、お分かりいただけたでしょうか?
ピアノの運搬にかかる料金は条件によってさまざまで、残念ながらここではそれぞれの状況での料金を一概に示すことはできません。
また、ピアノの運搬を行う業者によってサービスの内容や料金設定は異なり、ご自身の状況に合わせてもっとも都合の良い業者を選ぶことが、ピアノを安全に運び、料金を抑えることにもつながります。
ピアノの運搬にかかる詳しい費用やサービスを知りたいと思ったときは、ぜひ複数の業者に見積もりを依頼し、ご自身の条件での料金相場を確認してみましょう。